創立90周年記念誌ができるまで
創立90周年記念誌編集委員会
畠山利子〔32回・高15(昭38卒)〕
県立川崎中学校の創立から(1948年学制改革で県立川崎高校となる)数えて、90周年の節目を迎えた。柏葉会としては、90周年の記念行事を行うことを一昨年(2016年)5月の総会で決めた。その記念行事の一環として「90周年記念誌」を編むことになった。編集委員は10人。早速5月下旬に第一回の会議を開き、編集方針を定めた。川高では30周年誌から始まって、40・50・60・70・80周年誌が作られている。中でも、「神奈川県立川崎中学校・高等学校60年史」は、この学校の成立から60年に渡る歴史を当事者から聞き取ったり、学校にある資料を丹念に拾い上げたりして、それらを丁寧に編集し、他の校史にも類を見ない見事なものとなっている。「60年史」に匹敵するものは「100年史」に任せて、この「90周年記念誌」では今までの周年誌と異なった視点で作ることを考えた。
川中・川高は部活動が盛んで、全国レベルのものがかなりあった。そこで部活動を中心に据える、また川崎大師様によってつくられた定時制のこともしっかり取り入れよう、などと話しているうちに、「90歳の方がお元気で活躍しておられる。90歳の方々をお呼びして座談会をしたらどうだろう」と話が進み、川中を卒業した5人の方に1月の特に寒い日だったがお出でいただき、2時間余に渡って当時の学校生活について話していただいた。興味深い話題が次から次へと出てきて、まだまだ話し足りないご様子、その軒昂ぶりにその場にいた私たちはただただ圧倒されるばかりであった。これを起こして、半分以下の原稿にするのは身の切られる思いであった。結局これが「90周年誌」の目玉になったのは言うまでもない。
編集としては、90年の歴史をそれぞれのトピックを中心に据えて、5章に分けた。そこに年表とその時代に対応する原稿・写真を掲載した。写真をふんだんに使ったのは、視覚からその時代をつぶさに伝えたかったからである。また部活動の様子も、読むことによってその時代背景がわかるようにした。各部活動の盛衰は、90年の歴史年表にまとめた。
第1回の会議以降1年半、ほぼ毎月編集会議を重ねた。各委員は仕事の合間を縫って校内の記念室に通い、学校要覧・校史・周年誌・卒業アルバム・「かんらん」復刻版・「柏葉(同窓会報)」・学校案内・PTA広報誌等の資料を入念に見ていった。実に根気と忍耐の強いられる作業だった。写真に関しても、あらゆる資料から写真を取り出してはパソコンに落とすという、気が遠くなるような作業を続けた。さらにその後、各委員がまとめたものを集約して完成版をつくる必要があった。これは皆で分担という訳にはいかず、一人の編集委員の肩に依存した。編集ソフトを勉強することから始まって、字体・ポイントの選択、原稿や写真の配置等。まさに苦労に苦労を重ねた結果の「創立90周年記念誌」 の完成であった。編集委員一同、大変な思いはしたが、冊子を手にした時の達成感は 格別なものであった。
11月11日の式典以降、この周年誌を手にした同窓生からうれしい感想が寄せられた。「読み物として、とても面白かった」「写真がふんだんにあって、実に懐かしかった」「定時制のことも載っていて、よくできた周年誌だ」「引きつけるものがあって、初めて周年誌を熟読した」等。
県立川崎高校はこれからも続く。やがて創立100年がやってくる。その橋渡しができたのならば、これ以上の喜びはない。
柏葉36号(2018.3.30)所収